「電撃ホビーマガジンのナガセの小説だが、書いたのは誰か」
「君は佐藤大輔みたいだと言ったじゃないか」
「題材が似ているだけで、彼だとは断言していない」
「じゃあ?」
「書いた人の名前は実は書いてあるので、明確に分かっている」
「誰だい?」
「山本平次郎」
「それは誰だい?」
「架空戦記作家らしい」
「へえ」
「調べてみると、『蒼海の牙―衝角戦闘艦『快天』出撃す!』という表紙に海底軍艦みたいなイラストが描いてある本があるようだ」
「海底軍艦って……」
「2011年1月に出た本らしいので、まだ絶版にはなってないだろう」
「そうか」
「しかし、分からないのが考証の大磯航輝だ。ネットで検索しても何も出てこない。ミステリアスな人物だ」
「どう解釈すべきかい?」
「誤植では無いとすれば、誰かの変名かも知れない」
「ならば誰の変名?」
「さあな。それは分からない」
「じゃあ、なぜ変名を使うの?」
「たとえば、自衛隊関係者とか、たかが1民間企業の出版物に関わったらまずいだろう」
「本当にそういう人なの?」
「さあな。それは分からない」